バンクシー(Banksy)
世の中をもっとよくしたくて警官になるやつもいれば、
世の中をもっとかっこよく見せたくて破壊者になるやつもいるんだ。
山崎浩一.『BANKSY Wall and Piece』.株式会社パルコ.2014年.8頁.
バンクシー(banksy)はイギリス、ブリストル生まれの正体不明のグラフィティ・アーティストです。
「ステンシルアート」を多用し、皮肉とユーモアにあふれた作品を世界各地の街に残しています。
その活動はストリートのグラフィティに留まらず、映画監督、演出家、ホテルの出資者など多岐にわたります。
ここでは、「アート・テロリスト」とも呼ばれるバンクシーの作品をいくつかご紹介します。
Rats
バンクシーは初期に「ネズミ」をモチーフとした作品を描きました。
警官に追われながら街中の壁や建物に作品を残すストリート・アーティストとしての自身を、
もしくは社会のはみ出し者や弱い立場の人々を表現しているのかもしれません。
有名なネズミには「Love Rat」、「Gangsta Rat」、「Unbrella Rat」などがあります。
Girl with Balloon

「風船と少女」は最初ロンドンとテムズ川に描かれたといわれています。
本物の壁画は残念ながら現在は消されてしまっています。
少女は風船を手放してしまったのか、それとも風船を掴もうとしているのか、、、
右側の「THERE IS ALWAYS HOPE」(いつだって希望はあるさ)は、少女(を観る人々)を励ますために他の誰かが書いたものだともいわれています。
去るタイミングになったら、黙って立ち去れ。けっして騒ぐな。
『BANKSY Wall and Piece』.79頁.
Flower Thrower

「愛は空中に」(Love is in the Air)とも呼ばれるバンクシーの代表作の一つです。
2003年にパレスチナとイスラエルを分断する壁に描かれた壁画が有名です。
国を分断する壁の高さはベルリンの壁の約3倍、全長は約760kmにも及び、戦争のために建設されました。
火炎瓶ではなく花束を投げる「Flower Thrower」には「戦争なんてやめちまえ。もっと他にやりようがあんだろ」というようなメッセージを感じます。
Exit Through the Gift Shop
『イグジット・スルー・ザ・ギフト・ショップ』(Exit Through the Gift Shop)はバンクシーが監督した2010年のドキュメンタリー映画です。
タイトルは「お代は見てのお帰り」。つまり、見て気に入ったらお代を払っていってくれという意味。
アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞にまでノミネートしています。
映像作家を名乗るティエリー・グリッタはバンクシーに接触し映画を撮ろうとします。
しかしバンクシーは彼をアーティスト「ミスター・ブレインウォッシュ」に仕立て上げ、逆に彼の映画を撮ることにします。
仮題は「クソのような作品をバカに売りつける方法」。
ちなみにミスター・ブレインウォッシュのオリジナリティを感じさせない作品は、
現在もセレブや多くの人々に人気です。
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